「凜音ちゃん、お手洗いはそこの植木の奥だよ」
「あ、はい、ありがとうございます」
雷さんにお礼を言ってお手洗いへと向かう。
……はぁ。
もう溜め息しか出ないんですけど。
さっきの態度は自分でも嫌な奴だって思う。
分かってるんだけど、十夜の前だと素直になれないんだよね。
素直になろうと頑張ってはいるんだけど、売り言葉に買い言葉でつい喧嘩腰になってしまう。
でも十夜も悪いんだよ?
いつも馬鹿扱いだしさ。
さっきのだってあそこまで怒る事じゃなかったんだけど、十夜が馬鹿って言うから。
それに、あんな風に言われると十夜はあたしの事何とも思ってないんだなって落ち込む。
十夜はあたしの事どう思ってるんだろう。
気になるけど、聞けない。
だって、女として見てないって言われたらショックで立ち上がれないし。
お手洗いから出てカウンターに視線を向けると、ちょうど雷さんがこっちを見てて目が合った。
何となく、気まずい。
雷さんはそんなあたしの心中を察したのか、さっきと同様二コッと微笑んでくれて。
それに笑い返した時、十夜がゆっくりと振り返って来た。
雷さんと目が合っていたあたしは当然視界に入っている十夜とも目が合ってしまい、慌てて目を逸らす。
「ら、雷さん!ソファーに座ってもいいですか!?」
視界に飛び込んできたソファーを指差して、駆け寄っていく。


