「雷(ライ)、離せ」
「凛音、死にそうになってるぜ?」
三途の川がチラホラ見えそうになった時、十夜と煌の制止する声が聞こえた。
その声を聞いた男の人は「ちぇっ」と言いながら力を緩め、ゆっくりと離れていく。
……はぁ。苦しかった。
あたし女なんだからちょっとは手加減して欲しいんですけど。
大きく深呼吸し、空気を吸えるだけ吸い込む。
「りっちゃん、大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
「雷、お前ちょっとは手加減しろよ」
あたしの背中を擦りながら、雷っていう人をゴツンと小突く彼方。
「いたっ!仕方ないやん。凛音ちゃんに逢いたかったんやから」
雷っていう人は彼方に小突かれた頭を摩りながら、カウンターの入り口に行って電気のスイッチを押した。
途端、パッと明るくなった店内。
「凛音。こっちに座れ」
「うん」
十夜に呼ばれ、煌と十夜の間に座る。
席順は左から壱さん、彼方、陽、煌、あたし、十夜の順番。
「凛音ちゃんさっきはごめんな。嬉しくてつい」
「いえ、大丈夫です!……あの、あたしの事知ってるんですか?」
カウンターの向こうから差し出してくれたおしぼりを受け取って、さっきからずっと疑問に思ってた事を聞いてみた。