店内真っ暗だし、誰も出て来る気配ないし。

休みなんじゃないの?


そんな事を思っていたら、後から入ってきた彼方が「居ねぇのかよ?」と言いながらカウンターの奥に勝手に入っていった。


ちょっと、勝手に入って行っていいの!?

一応他人様のお店なんだよ!?


一人でオロオロしてる間に、十夜達三人は勝手にカウンターに座っている。


何なんだ、こいつらは。

勝手に入ったり座ったりしていいの?


今のあたしはまさに幼稚園の先生の気分で。


あたし、こんなでっかい園児相手にしたくないんですけど。


そんな事を呑気に考えている時だった。


彼方が入っていったカウンターの方から、突然荒々しい足音が聞こえてきた。


「凜音ちゃん!!」


「う゛っ!」


カウンターの奥から走ってきた男の人に目を見開く暇もなく思いっきり抱きしめられて。


く、苦しい。一体誰!?


強すぎるその力に、早くもノックダウン寸前。


あ~、もう無理かも……。