「……後ろ、凄いね」


「な?良かっただろ?離れて歩いてて」


「うん」


チラリ、後ろを振り向けば、此処は学校か、と突っ込みたくなるような光景が広がっていて。

陽の言う通り、離れてて良かったと心底思った。


さっきはバレても良いかと思っていたけど、あの騒がれようを見たら絶対にバレたくない。

だって、あれ凄すぎるもん。


陽の配慮で少し離れて歩いてたけど、一緒に歩いてたら一体どうなってた事やら。


良かった。離れて歩いてて。


だってもう、あれは正体バレるとかそういう問題じゃないからね。


バレたらその場で八つ裂きにされそうな感じだもん。


あたし、鳳皇ファンを甘く見ていたかもしれない。













「凛音、着いたぜ」


「え、此処?」


陽が立ち止まったのは黒い扉の前で。

その扉の上にある看板には【Tear Drop】と書いてある。


ここ、どこからどう見てもレストランには見えないんですけど。


これって何のお店?


「お前等何してんだよ。早く入れよ」


後からやってきた煌がドアを開けて先に中へと入っていく。


壱さんに「凛音ちゃん先にどうぞ」と言われて先に中へ入れば、中は飲食店とは思えない程真っ暗で。


入った瞬間、営業していないんじゃないかと思ってしまった。


っていうか、ここって……。


店内をぐるりと見回して確信した。


ここは、多分“BAR”だ。


だって、カウンターの壁にお酒が沢山並んでるし。


……となると、一つ疑問点が。


“BAR”って昼間、お店営業してるの?