そう。
あたしのお兄ちゃんは実家のある隣県で暴走族をやっている。
地域が違うから争う事はないのかもしれないけど、普通に考えて総長の妹が他のチームに入るのはいくら何でも駄目だろう。
っていうか、暴走族自体に関わっちゃ駄目なんだってば。
総長の妹云々より、あたし自身が暴走族に入ってどうするの。
そんな所に入ったら余計に男が寄って来なくなるし。
冗談じゃない。
そんな事になったら何の為にこっちの学校を選んだのか分からない。
絶対駄目だ。
この人達に関わったらあたしの“高校で彼氏ゲット作戦!”が全てパーになる。
「絶対無理だから!っていうかあたし、喧嘩出来ないしバイクも乗れない!」
喧嘩は出来るけど。
けど、そんな事馬鹿正直に言ったら強制的に入らされそうだから絶対に言ってやんない。
「誰が喧嘩しろって言ったんだよ。 別にバイクも乗らなくていい。乗っけてやるから」
あたしの必死の抵抗をスパンと気持ちいい程はね除ける爆笑男。
もう何度見たか分からないその意地悪な微笑みは、あたしを脱力させるのに十分だった。
……だ、駄目だ。話しにならない。
“御機嫌”
今の男には正にその言葉が一番当てはまると思った。
何を言ってもすぐに跳ね返されそうで、もう何も言う気にはなれない。
……はぁ、どうしよう。
どうにかして諦めさせなければ……って、あっ!あの男!あの男ならきっと止めてくれる筈!
頭に浮かんだのは無愛想な失礼男の顔。
爆笑男のせいですっかりその存在を忘れていたが、多分まだその辺にいるはずだ。


