「やっ、あの……ごめん」


まさか起きるとは思っていなくて、慌てて十夜の胸元から離れる。


けど。


「ちょっ、十夜!?」


十夜は離れようとするあたしの肩をが無理矢理引き寄せた。


抵抗するけれど、到底敵う筈もなく。


あたしの体の芯は再び十夜の腕の中に。


「と、十夜、起きてるの……?」


顔を上げて十夜の様子を窺うけど、目は瞑ったままで。


「……起きてる」


え?起きてるの?

それにしては表情に変化が見られないんですけど。


本当かどうか確認しようと、足で布団を蹴りながら上へと移動する。


「ちょ、ちょっと十夜!起きてないじゃん!」



目線がちょうど十夜の口元まで来た時、抱き締めている力が強くなった。


けど、目は開いていない。


「んー!」


胸元を思いっきり押すけどピクともしなくて。


か、顔!顔近いってば!


上へ上がった事を後悔した。