「聞いてんのか?あぁ”?」
「十夜」
珍しく怒りを露にしている十夜の服をそっと引っ張って、やめるよう制する。
「凛音」
「ありがとう」
でも、これはあたしの喧嘩だから。
十夜の横をすり抜けて、蹲っている女達の前に立つ。
立ったまま見下ろせば、彼女達は涙を浮かべたままあたしを憎らしげに睨み付けてきた。
その場にしゃがんで、彼女達の目線に合わせる。
そして──
ドンッ!!
「……っ」
さっき十夜が蹴った所と同じ壁を、思いっきり叩いた。
傍から見れば壁ドンしてるように見えるこの光景。
けれど、実際はそんな甘いものじゃない。
これは獲物を追い詰めていく為の“手段”だ。
スッと目を細め、女に近付く。
「──アンタ達は、何の関係もない妃奈を巻き込んだ」
自然と低くなる声のトーン。
「今度妃奈に手を出したら容赦しない」
女だからこれで済ませてあげるけど、次妃奈に手を出したらその時は黙っちゃいない。
「もし来るなら正々堂々と来い。その時は喜んで相手してあげる」
耳元でそう囁けば、女はゴクリ、息を呑んで俯いた。
「あ、言っておくけど、あたしプロレス大好きなんだよね。だから──」
「……っ」
「来るなら覚悟して来てね?」
──その様子だと来る事はなさそうだけど。
ちょっと低い声を出しただけでこのザマ。
こんな事ならもっと早くとっ捕まえておくんだった。
そうしたら妃奈を怖がらせなくて済んだのに。


