「壱さん、なんで此処にいるの?」
「それは……、凛音ちゃんが遅いから探しにきたんだ」
「……っ、そうなんだ」
困ったように笑う壱さんに「ありがとう」とお礼を言って顔を上げる。
すると。
「妃奈!!」
目に飛び込んできたのは、瞳一杯に涙を浮かべながらあたしの方へと走ってくる妃奈の姿。
「妃奈!」
「凛音ちゃん!」
その場から駆け出して、妃奈の身体を力一杯抱き締める。
「妃奈、巻き込んでごめんね」
「ううん。大丈夫。ありがとう、助けに来てくれて」
大丈夫って言ってるけど、怖かったに違いない。
だって、こんなにも震えてる。
あたしは喧嘩慣れしているけど、妃奈は喧嘩なんてした事がない普通の女の子だ。
怖くない訳ない。
「ごめん、妃奈」
怖がらせてごめんね。
「──お前等、今まで凛音に何した?」
「ひっ……!」
「何したか聞いてんだよ」
女達を壁に追いやって、顔近くの壁を思いっきり蹴る十夜。
女達はビビッてしまい謝る事も出来ないらしく、ただただ身を寄せ合って震えてるだけ。
さっきの威勢はどこにいったんだか。
「……壱さん、妃奈をお願いします」
「えっ、凛音ちゃん?」
妃奈を壱さんに預けて、十夜達の元へと向かう。


