「凛音ー。帰ろーぜー。先に外、出てるからなー」


「はーい」



結局十夜達は帰って来なくて、陽にバイクで送って貰う事になった。


ルンルン気分で鞄を持ち、ソファーから立ち上がる。



──と。



「……ゲッ」



片側の持ち手しか掴んでいなかったらしく、立ち上がった瞬間、鞄の中身を全部ぶちまけてしまった。



あぁー、もう!

早く行かなきゃ陽が待ってるのに!



ぶちまけた中身を素早く鞄に入れ、急いで部屋から出る。



「陽、ごめーん!」


「じゃ帰りますか!」











この時、なんで鞄の中身をちゃんと確認しなかったのだろうか。


あたしはこの時、“あれ”を落としていた事に全く気付いていなかった。