まるで、さっきの乱闘が嘘かのように静まり返った公園内。
けれど、目前に広がる光景は確かに今乱闘があった事を物語っていて。
普通の日常では有り得ないその光景に、「はぁ……」と盛大な溜め息が零れ落ちた。
自分が喧嘩をした訳でもないのに何だか凄く疲れた気がする。
いや、あたしも股関を蹴ったから喧嘩に参戦した事になるのかもしれないけど。
っていうか、あたしは喧嘩に参戦したんじゃないし。
巻き込まれたの。被害者なんです!
「──お前、股間はねぇだろ、股間は」
悪びれる様子もなく隣に並んだ爆笑男。
顔は見ていないけど、その口調からしてきっと笑っているに違いない。
「別に狙いたくて狙った訳じゃないし。たまたま蹴った所があそこだっただけ!」
あんた達が巻き込んだせいでしょ、とでも言うように横目で睨みを利かせると、
「まぁそうかもしんねぇけど。ってか見事な股間蹴りだったわ。面白いモン見せて貰った」
爆笑男はさっきの光景を思い出しているのか、ククッと喉を鳴らした。
コイツ、あたしを完全に馬鹿にしてる。
「お褒め頂きありがとう。全然嬉しくないけどね!」
対抗心が芽生えたあたしは、羞恥に耐えながらも悪意を込めて睨み返してやった。


