「あの時一緒に居たのが煌さんでも同じ事した?」


「………っ」


「でしょ?」


「……冬吾くんの意地悪」




その満面の笑顔が凄く恨めしい。









「───凛音」

「………っ、」



ビックリした。


この声って……。



そろっと顔を上げると、二階の廊下に立っていたのは十夜で。



い、今の聞かれてなかったよね?



内容が内容なだけに、嫌な汗が流れ落ちる。




「凛音ちゃん。俺が言った事は気にしないで。でも、好きだと思ったら素直になった方がいいよ」



そう耳打ちしてきた冬吾くんは、「ほら行って」とあたしの背中を軽く押してきた。



気分が晴れないまま冬吾くんにバイバイと手を振って、倉庫を後にする。



帰りは車だったからあまり気まずくはなかったけど、冬吾くんがあんな事言うもんだから隣に居る十夜の事が気になって気になって仕方なかった。










「十夜、壱さん、送ってくれてありがとう」


「バイバイ、凛音ちゃん」




車から降りて、車が見えなくなるまで見送る。



車が見えなくなった時、




「……冬吾くん、あたしは十夜を好きになっちゃいけないの」




あたしの口から、そんな言葉がポツリと零れ落ちた。




「だって、」





“あたしは、獅鷹総長の妹だから”