突然、あたしの視界から消えた十夜の漆黒の瞳。




「……っ、とお……」




──次の瞬間、熱い吐息があたしの首にそっと触れた。





「……っ」



口から洩れる小さな吐息。


首から伝わる熱に上手く息が出来ない。






「凛音」



鈍い痛みを残して離れていった十夜をそっと見上げれば、一点の曇りもない深い漆黒の瞳があたしを真っ直ぐ射抜いていて。


十夜の指先が、あたしの頬に触れる。







「──“ソレ”をつけたのは中田じゃない。俺だ」


「……っ」


「そう思ってろ」






十夜はそれだけ言って、あたしの腕を引いて歩き出した。








……今のは一体どういうこと?



今起こった出来事を必死で理解しようと頭をフル回転させるけどいくら考えてもその答えは出なくて。



「凛音!大丈夫か!?」



結局、何の理解も出来ないまま倉庫に到着した。


その後は状況説明やら何やらで忙しくて、十夜と二人で話すこと無く一日が終了。


いつの間にかあたしの頭の中は中田ではなく十夜の事で一杯になっていた。