「……みんな、大丈夫かな?」
十夜が電話をかけたのは鳳皇のメンバーで。
どうやら十夜はbladeの下っ端を倒した後、繁華街に居るメンバーにゲームセンターに来いと連絡したらしい。
だから十夜は中田を追いかけず、あたしの傍に居てくれたんだ。
「アイツ等なら大丈夫だ。それより、何もされなかったか?」
「………っ」
「凛音?」
「だ、大丈夫。……ごめん!ちょっとお手洗い行ってくるね!」
「オイ、凛音!」
引き止めようとする十夜の傍をすり抜けて、トイレへと走っていく。
「消えて。お願いだから消えてよ」
持っていたハンカチを濡らして、忌々しい“ソレ”を何度も何度も擦り続ける。
けど、鏡に映るソレはどれだけ擦っても消えなくて。
擦れば擦る程気分が落ちていくような気がした。
……もっと抵抗すれば良かった。
そうしたらこんな“痕”付けられなかったかもしれないのに。
膨らんでいく後悔に涙腺が緩んで泣きそうになる。
でも、いつまでも此処に居る訳にはいかないから、零れ落ちそうな涙を拭ってパンッと両頬を叩いて気合いを入れた。
「……よしっ」
赤くなった首をバレないように髪の毛で隠してトイレを出る。
「十夜、ごめんね!ちょっとお腹の調子が悪くてさ~」
トイレを出てすぐの所。
壁に凭れながら待っててくれた十夜に陽気な口調でそう話し掛けると、何故か無表情であたしに詰め寄ってくる十夜さん。
「えっ!?ちょ、十夜!?」
ダンッと壁に押し付けられて、距離を詰められる。
「やっ……!」
それはさっき中田にされたのと全く同じ体勢で。
自然と身体が強張った。
「──アイツに、何された?」


