「凛音」
十夜からあたしへと視線を移した中田が、人差し指で自分の首をトントンと軽く叩く。
「……っ、」
それがどういう意味か直ぐに分かったあたしは、首を押さえながら中田を睨み付けた。
意識した途端、“ソコ”がジンジンと熱くなった様な気がして。
激しい嫌悪感に身体が震えた。
「……凛音?」
視線を交わしたまま黙り込んだあたし達を見て不審に思ったのだろう。
あたしと中田を交互に見る十夜。
けど、あたしは中田を睨み付けたまま何も応えなくて。
「……っ」
──その隙を中田は見逃さなかった。
「……チッ。テメェ、待てや!!」
逃げ出そうとする中田に気付いた十夜が追い掛けようと足を踏み出す。
けれど、その足は直ぐに止まり。十夜は何故かあたしの方へと向かってきた。
……っ、十夜……?
ギュッと肩を抱き寄せられて、頭を撫でられる。
「……っ」
言いたい事は沢山あるのにどれも言葉にならなくて。
そんなあたしに十夜は何も言わず、あたしを抱き締めたまま何処かに電話をかけ始めた。
「一人にして悪かった」
「……っ、ううん。十夜のせいじゃないよ」
──来てくれて、ありがとう。
電話をしてる間ずっと抱き締めてくれてた十夜に小さくお礼を言って、そっと離れる。


