十夜はいつも自分達と関わってる事が周囲にバレないように細心の注意を払ってくれる。


バレたくないと言ったあたしよりも気にしてくれてて、今までも今みたいにヘマしそうになった事があってその度こっぴどく注意されていた。


見た目と違ってホント真面目というか何と言うか……。







「っていうか、何で十夜一人なの?壱さんと煌は?」



此処にバイクがあるって事はこれで帰るんだろうけど、バイクで帰るなんて陽言ってなかったよ?



「さっき連絡入って傘下んとこ行った。お前放っておけねぇから下の奴にバイク持って来させたんだよ」


「あー、」



急だったってことね。



「十夜は行かなくても大丈夫なの?」



そんな急いで行ったんだったら行かないといけないんじゃないの?



「大丈夫だ」

「でも……」

「行くぞ」

「ぅわっ」



黙れとでも言う様に乱暴にヘルメットを被せられて。



「……苦しい」



ご丁寧にあご紐まで締めてくれた。


その後、「乗れよ」とバイクに乗るよう促してきた十夜にあたしは突っ立ったまま十夜を見上げるだけで。



「どうした?」



十夜の訝しげな視線が突き刺さる。



いや、その……。



「の、乗せて欲しいなーなんて」

「………」

「えへ」



実はあたし、一人で乗れないんです。


貴兄のバイクに乗る時、足を引っ掛けてすっ転んだ事があって。


あれ以来、自分で乗るのが怖いんだよね。