「お前、言ってないのかよ!煌から保健室行ってて車に来るの遅かったって聞いたぞ?」
「煌から?なんで?」
「メールが来たんだよ。“どこ行ってんのか知らねぇ?”って。その後すぐお前が来て、理由分かったからって折り返しメールが来た」
「なるほど。二人には水溜まりに落ちて保健室に行った事になってるの。だから怪我の事は内緒ね!」
「なんで?」
「……怪我したって言ったら煌にまた“鈍臭い”って怒られるじゃん」
「……成る程」
理由を聞いて納得した陽がハハッと苦笑して、あたしの肩をポンッと叩く。
ったく、笑い事じゃないんだってば。
煌のお小言はホント勘弁。
怪我したり躓いたりする度鬼みたいに怒るんだから。
「東條、陽、はよー」
「おはよー」
二人揃って教室に入ると、既にほとんどのクラスメイトが来ていて。
いつものように挨拶しながら席へと向かう。
……あれ?妃奈がまだ来てない。いつも早いのに。
……と、そうだ!
あたし矢野くんにTシャツ返さなきゃいけないんだった。
鞄と一緒に持っていた紙袋を机の上に乗せて、キョロキョロと矢野くんを探す。
あれ?いない。
教室内をぐるりと見渡すけど、矢野くんの姿はどこにもない。
いつもあたしより来るの早いんだけどなぁ。
……と思っていたら、ちょうど後ろのドアから矢野くんが入ってきた。
「東條さん、おはよう!」
あたしの視線に気付いた矢野くんが小走りでこっちへやってくる。


