「な……っ」
あたしはそれを後方に倒れながら聞いていた。
トンッと背中に当たる感触。
それは固い地面ではなく、僅かに体温を感じる人間の身体だった。
だが、それを感じても尚、思考がついていかない。
一瞬とも呼べる出来事。
思考が追い付かないのは当然の事。
けれど、理解している事が一つだけある。
それは、倒れる寸前、誰かに腕を引っ張られたという事。
「テメェ!!」
怒鳴りながらこちらへと走って来る失礼男と爆笑男。
その姿を見て嫌な予感が過った。
「来んじゃねぇよ」
この、声。
まさか……。
そう。
あたしの後ろにいたのは、さっき探していた“あの男”だった。
なん、で……?何でこの男があたしの後ろにいるの?
あたし達は一番後ろで喧嘩を見ていたはずだ。
喧嘩をずっと見ていた訳ではないけれど、この男がこちらへ来たら分かるはず。
それなのになぜ……って、一番後ろ?
脳裏に浮かんだのは一つの推測。
もしかして……。
そうか。この人、向こうの入口から車道に出て、公園の外を回ったんだ。
そして、もう一度此方の入口から入って来た。だからあたしの後ろにいる。
まさか後ろから来るなんて……。


