Ri.Night Ⅰ 【全完結】



「な……っ」



あたしはそれを後方に倒れながら聞いていた。



トンッと背中に当たる感触。

それは固い地面ではなく、僅かに体温を感じる人間の身体だった。


だが、それを感じても尚、思考がついていかない。



一瞬とも呼べる出来事。
思考が追い付かないのは当然の事。



けれど、理解している事が一つだけある。

それは、倒れる寸前、誰かに腕を引っ張られたという事。



「テメェ!!」



怒鳴りながらこちらへと走って来る失礼男と爆笑男。

その姿を見て嫌な予感が過った。



「来んじゃねぇよ」



この、声。

まさか……。



そう。
あたしの後ろにいたのは、さっき探していた“あの男”だった。



なん、で……?何でこの男があたしの後ろにいるの?



あたし達は一番後ろで喧嘩を見ていたはずだ。

喧嘩をずっと見ていた訳ではないけれど、この男がこちらへ来たら分かるはず。



それなのになぜ……って、一番後ろ?



脳裏に浮かんだのは一つの推測。



もしかして……。



そうか。この人、向こうの入口から車道に出て、公園の外を回ったんだ。

そして、もう一度此方の入口から入って来た。だからあたしの後ろにいる。



まさか後ろから来るなんて……。