「と、十夜が悪いんだからねっ!」
熱くなってる顔を両手で覆いながら少しずつ後退する。
「お前、いきなり頭突きかますんじゃねぇよ」
「し、知らない!」
──そう。
何を隠そう。あたしは今、叫びながら十夜に頭突きをかましたのだ。
でも、それはあたしが悪いんじゃない。
あんな事する十夜が悪いんだ。
「オイ。さっき言った事守れよ」
「は?」
さっき?
あ、陽に言えって言った事?
「なんで陽だけなの?」
そう問いかけると、何故かフイッと逸らされた視線。
……分からない。
十夜って何を考えてるのか全く分からない。
「十夜?」
後退するのを止め、もう一度十夜の元へ膝歩きで寄っていく。
十夜の前まで来ると、そこにゆっくりと腰を降ろした。
すると十夜は、
「俺らと関わると目立つだろ」
顔を背けたままそう呟いた。
一瞬、何を言ってるのか解らなかったけど、すぐにその言葉の意味が理解出来て。
グッと唇を噛み締める。
「……十夜、ありがと。何かあったら十夜達も呼ぶから」
一緒に居るとあたしが嫌な思いをするかもしれない。
だから陽に言えって言ったんだね。
まさかそこまで考えてくれてるなんて思いもしなかったよ。


