ありったけの力を振り絞って頑張ったけど、男の力に勝てる訳がなく。
あっけなく撃沈。
諦めてそのままの体勢でいる事にしたのは良いんだけど。
……前屈みでしんどいんですけど。
首を引き寄せられているあたしは上半身が前に倒れ、お尻を中途半端に突き出しているというかなりみっともない格好で。
当然だけど女がする格好ではない。
十夜が起き上がってくれたらいいじゃん!
なんて、心の中で悪態をついた時、
「おい、さっき言った事聞いてたのか?」
超不機嫌な総長様の声が聞こえてきた。
「え?あ、陽に言うんでしょ?……っていうか、なんで陽なの?」
慌ててそう応えると、十夜は無言のまま探るような目を向けてきた。
……うっ。なんでそんな目で見るの?
覗き込む様にして真っ直ぐ見つめる十夜の瞳に、顔の熱が上昇していく。
そんなあたしとは反対に、十夜はシレッと余裕顔。
………ムカつく。
こんなに顔が近いのに、なんでそんなに余裕なのか分からない。
顔を逸らしたくても首をガッシリと固定されてるから無理で。
あーもうどうしよう。
至近距離から繰り出される十夜の視線がとてつもなく痛い。
あーもう!恥ずかしいから見ないでよ!十夜の馬鹿!
もー、堪えれない!!
あたし、あんたと違って、
「慣れてないんだってばー!」
───ゴッ。
「………っ!」
十夜の言葉になってない呻きと共に、巻き付けられていた左腕の力が緩んだ。
チャンスとばかりに十夜の胸板を押して離れる。


