「何も言わないで行くの?」
「……あー、“ちょっと出て来る”とは言うけど場所は言わねぇな」
天井に向かってフゥと白煙を吐き出し、灰を落としながら左手で前髪をかき上げる煌。
その仕草が妙に妖艶で、不覚にも少しときめいてしまった。
顔がいい人はいいよね。何しても格好良く見えるんだから。
羨ましいよ、ホント。
って言うか喋らなきゃパーフェクトなのにな。このエセ王子は。
「アイツ、どこ行ってんだろうな」
「心当たりないの?」
「んー……女んとこ、とか?」
そう言って煙草を口にくわえながらあたしに意味ありげな視線を向けてくる煌に眉根が寄る。
……何ですか。その目は。
怖いんですけど。
っていうか。
「十夜って彼女いるの?」
何となく聞いたのに、何故か待ってましたと言わんばかりにニヤリと笑う煌。
だーかーら、何なのよその顔は!
「気になる?」
頬杖をつき、上目遣いであたしの顔を覗き込んでくる煌に素直に「気になる」なんて言える訳がなく。
「……別に」
ツンッと顔を逸らして興味がないフリをした。


