実はお風呂入りたかったんだよね。
水溜まりってドロドロで汚いし。プロレスして汗もかいてるし。
よーし。そうと決まれば善は急げだ。
「分かった。じゃあ帰るね」
「じゃ!」と手を挙げてソファーの方へ戻ろうとすると、
「ちょ、何!?」
何故か手首を掴まれた。
「ちょ、十夜……!」
あたしの手を掴んだまま立ち上がった十夜は特等席の左後ろにあるドアを開けたかと思うと、あたしをその中へと押し込んだ。
「入ってこい」
返事する暇もなくドアが閉められて、呆然とするあたし。
「……何だったんだ、一体」
パタンと静かに閉まった扉を見つめ、ポツリ、そう零す。
「っていうか、此処お風呂だったんだ」
室内をぐるりと見回したところで、ようやくここが脱衣所だという事に気が付いた。
十夜が言ってたお風呂って此処のお風呂の事だったのね。
っていうか、あたし溜まり場にお風呂があるなんて知らなかったんですけど。
ぶつぶつ文句を言いながらも手際良く服を脱ぎ始め、きちんとたたんで籠の中に入れる。
「広っ!」
扉を開けてビックリ。
だって、此処のお風呂一般家庭の二倍ぐらいあるんだもん。
湯舟なんて大人三人は余裕で入れそうだ。


