この一週間、あたしは勇介くん達とプロレスをして遊ぶ事が増えた。
なんでプロレスかと言うと、繁華街でbladeを追いかけたあの日、あたしが敵にプロレスの技をかけたから。
あれを見ていた勇介くん達が翌日、他のメンバー達に言いふらし、鳳皇の中であたしのプロレス好きが拡散した。
それからというもの、暇があればみんなでプロレスをして遊んでいる。
「……お前、手加減してやれよ?」
「わーかってるってー」
ヤレヤレと肩を竦める煌にピースして、「あ、煌もする?」とお誘いする。
けど、
「やんねぇよ。お前と違って暇じゃねぇの」
ソッコーで断られて、むぅと口を尖らせた。
「ちぇ。技知ってる人がいたら楽しいのにー」
そう。
後日発覚した事なんだけど、なんと、煌もムサイ様のファンだったらしく。
初めてみんなとプロレスをした時、あたし達が遊んでるのを見て「こうじゃねぇ。こうだ」とか何とか言ってダメ出ししてきた。
まさか煌がムサイ様を好きだとは思わなくて。
『同志ー!!』
感激のあまり抱きついてしまった。
『うっとおしい』
もちろん、すぐに引き剥がされたけど。
そんなこんなで、プロレスが大流行中の鳳皇は毎日が騒がしく、あたしにとって居心地の良い場所になっていた。
これでbladeがいなければさらに良いんだけど。
でも、アイツ等がそんな簡単に引くとも思えないし。
「凛音ちゃん、やろうぜ!」
「うん。やろやろー!」
お願いだからどうかこのまま撤退して下さい。
そう、切に願った。