保健室にいる時、陽から【用事あるから先帰る!】とメールが来ていたから、十夜達が待っている駐車場まで一人で行かないといけない。


みんなもう待ってるよね。早く行かなきゃ。





教室に着いたあたしは、矢野くんにお礼を言って急いで教室を出た。


校門を出て、駐車場まで力一杯走る。


いつもの高級車を見つけると、念の為、周囲を見回して確認。



うん、誰もいない。



左後部席のドアを開け、身を屈ませて車内に入った。




「おかえり、凛音ちゃん」

「うーっす」


後ろを振り向いて笑顔で迎えてくれたのは壱さんで、前を向いたまま片手を上げてくれたのは煌。



二人に「ただいま!」と言って、ボスンとシートに背中を沈ませる。


チラリ、右隣の様子を窺えば、十夜さんはいつもと変わらず腕を組みながら寝ていて。


ふと、この前の光景が頭に浮かんだ。



きっと今日も騒がれたんだろう。

登下校の時間ぐらいゆっくりさせてあげなきゃね。


そう思ったあたしは、そっと目を閉じて車の揺れに身を任せた。