言わないより言った方がいい。
そう思ったあたしは、十夜に手紙の事を伝えようと口を開いた。
──ピリリリリ……。
けれど、運悪く煌の携帯が鳴り出して。
仕方なく終わるのを待つ事にした。
「もしもし。……あ?あぁ、分かった。先行っとけ」
軽い相槌を打ち、すぐに電話を切った煌。
一瞬声色が変わった気がするけど気のせいだろうか。
──いや、気のせいなんかじゃない。
だって、振り返った煌の表情が意味深に歪んでいるから。
「十夜、彼方からだ。火皇の下のヤツ等がやられたらしい」
……やっぱり。
「……分かった」
煌の言葉に目を細めた十夜は小さく舌打ちをすると、チラリ、あたしを一瞥して、
「凛音、今日は家に送る」
そう言った。
「……うん。分かった」
そう言われたら何も言えなくて。
結局、手紙の事を伝えないまま家に送って貰った。
……まぁ、いっか。明日言おう。
言うチャンスはまだまだあるしね。
その日は、何だか気持ちが晴れないまま眠りに着いた。