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「凛音、西上、帰ろうぜ!」

「えっ、あ、うん……」

「帰ろっか!」



結局、陽に伝える事が出来ないまま時間がだけが過ぎていき、気付けば下校の時間になっていた。


手紙の事で頭が一杯だったあたしは、授業中も手紙の事ばかり考えていて。


そんなあたしを見て変だと思ったのか、陽と妃奈が「どうかした?大丈夫?」と聞いてくれた。


けど、正直に話せる訳もなく。



「お腹痛いだけだよ。大丈夫」



そう嘘をついて誤魔化した。














「何かあったのか?」



車に乗り込んで一息ついた頃、突然十夜が話し掛けてきた。


目を瞑ってたから寝てたのだとばかり思っていたけど、どうやらそうではなかったらしい。



今日は疲れてないのかな?



「凛音?」

「あ、ううん。何もないよ」



ハッと我に返って、慌ててそう返す。



「………」



けれど、直ぐに返事しなかったせいなのか、訝しげにあたしの様子を窺いにくる十夜さん。


……視線が痛いんですけど。