その声は明らかに外から聞こえていて、開いていた窓からひょいっと下を覗いた。
「何アレ」
眼下に広がっているのは女子の塊。
「あぁ、アレ、十夜達だろ」
「は?」
十夜達?
「なんで?」
「なんでって人気あるから」
「人気って……」
そりゃあまぁ、三人共イケメンだから分かるけどさ。
「鳳皇はそんんだけ価値があるんだよ。女達からすれば」
「えっ!?みんな知ってるの!?」
「ったりめぇじゃん。この学校の奴で知らねぇ奴なんていねぇんじゃねぇの?」
……あたし、知らなかったんですけど。
「あ、凛音みたいに県外から来た奴は知らねぇかもしれねぇけど」
「だよね」
普通知らないって。
「……っていうかさ、十夜、機嫌悪そうじゃない?」
此処からじゃよく見えないけど、何となく纏う雰囲気がコワイような……。
「それに、何で三人の周りだけあんなにポッカリ穴空いてるの?ファンなら普通、取り囲んだり着いて行ったりしない?不自然すぎるんだけど」
そう。
あの三人は確かに騒がれているけれど、誰も三人に近付こうとはしていない。
明らかにおかしいよね?


