あー、もう!こうなったら隙を見て逃げよう!
喧嘩に巻き込まれるなんて真っ平御免だ。
逃げよう。ダッシュで逃げよう。喧嘩が始まる前に。
そう思った時。
「アイツは関係ねぇ。……中田、これ以上ガタガタ吐かすとどうなるか分かってんだろうな」
重圧感のある声が公園内に響いた。
「どうなるんだよ」
けど、キモ男はその重圧感など物ともせず言い返す。
口元には愉しそうに歪められた小さな笑み。
その笑みからは余裕さえ感じられる。
「後悔するなよ」
そう言った瞬間、失礼男の身にまとう空気が一変した。
「──やれ」
それはまるで鋭い鎌が振り下ろされたかのような一声だった。
その言葉が合図となり、周りにいた男達がキモ男に向かって一斉に走り出す。
あたしと前の人は必然的に一番後ろになり、少しずつ後ずさっていった。


