「到着っと。凛音ちゃんは最後に降りてね」
十夜に続いて車から降りようとしたら、壱さんに止められた。
「え?なんで?」
「俺達と関わってるのバレたくないでしょ?」
「……っ」
「十夜がね、言ったんだ。学校では一切関わるなって」
「十夜、が……?」
先に降りて行った十夜の背中を見ながら、ギュッと拳を握り締める。
「俺、後で行くから先行ってね」
「うん。ありがとう壱さん」
微笑む壱さんにお礼を言って、車から降りる。
駐車場を出れば、先に車を降りて行った二人の姿を見つけた。
“十夜がね、言ったんだ。学校では一切関わるなって”
それってあたしが暴走族と関わりたくないって言ったから?
だから学校では関わらないようにしてくれたの?
そこまで考えてくれてるなんて思いもしなかったよ。
陽と友達でいてくれって言われた時も思ったけど、十夜って見かけによらず優しいよね。
十夜が総長に選ばれた理由が少しだけ分かった気がした。
「凛音ー!はよー!」
「へ?」
陽?
校門に近付いていくと、塀に凭れて手を振っている陽がいて。
「陽!おはよー!」
手を振りながら陽の元へと駆け寄っていく。


