遠回りしないように計算し尽されている停車場所。


これじゃあ学校に行こうにも行けない。


よし、気付かないフリをしよう。うん。



無視する事を決めたあたしは早歩きで突き進み、車を通過する。



……けれど。



「りーのチャン?無視はいけませんよー」



そう簡単にいく訳がなく。



「乗れ」


「……ハイ」



東條 凛音。


朝っぱらから暴走族に捕獲されました。


チーン。











「テメェ、昨日はよくも逃げてくれたな」

「……何の事でしょうか。アタクシ知りませーん」

「首絞めるぞ」

「ちょ」



朝から殺人予告しないでよ!


助手席から乗り出してきた煌を押し返してシートにへばりつく。



「凛音」

「ひぇっ!」



そうだ。此処にもヤバイ人間がいたんだった。


前にも敵。横にも敵。


凛音ちゃん万事休す!!



「ちょっと、煌、十夜、そんなにコワイ顔したら凛音ちゃん怖がるだろ?」

「い、壱さん!」



ラブ!!



「おはよう、凛音ちゃん。昨日はちゃんと帰れた?」

「はい!それはもう!マッハで帰りました!」

「え、マッハ?」



朝から面白い事言うねー。


と、バックミラー越しに微笑んでくれる壱さんに凛音ちゃんノックダウン。


朝からご馳走様です。