「どういう事か説明して貰おうか」
「せ、説明と言われましても……」
そんなの出来る訳ないでしょ!
獅鷹総長である貴兄と獅鷹幹部の優音。
その二人と一緒にいました、だなんて口が裂けても言えない。
そりゃあ、変装しているから気付かれないかもしれないけど、問題はそこじゃなくて貴兄の方で。
こうしてる今も、突然消えたあたしを探し回ってるかもしれない。
っていうか、絶対に探し回ってるよ。
だってあの二人、心配性だし。
もし、この騒ぎを聞き付けて此処に来たりでもしたら……。
あぁぁぁぁぁぁ、どうしよう!!
バレたら終わりだ。強制送還だ!
「かかかか家族とご飯食べに来たの!だ、だから早く帰らなきゃ!!」
噛み噛みなのは許してほしい。
焦って呂律が回らない。
「……家族?」
「そ、そう!ママとパパと一緒なの!」
テンパッてる割りには上手いフォローだ、うん。
パパとママじゃないけど、家族ということには変わりない。
「し、心配してるかも!電話しよーっと」
そう言いながらポケットからスマホを取り出せば。
嘘でしょ!?
運が良い、いや、悪いことに、貴兄から着信が入った。