掴んだ腕にグッと力を込めれば、痛さで飛び上がる男。
それでも、何も言おうとしないから、仕方なく次の技を決める事にした。
「仕方ないなぁ。じゃあ、ムサイ様のとっておきの技を見せてあげる」
そう言って体勢を入れ替え様とした時だった。
「何がとっておきの技だこの馬鹿が!!」
「いっ、たぁーい!!」
突然、頭頂部に襲った鋭い痛み。
すぐさま両手で押さえて振り返れば。
「何すんの!…………よ」
「………」
「あ、あは……?」
振り返った先にいたのは、仁王立ちであたしを見下ろしている煌で。
悪魔のようなその形相に掴んでいた両足がその場にボトッと落ちた。
や、ヤバイ。殺される……っ!
最早、この世のモノとは思えない程険しい形相をしている煌にだらだらと滝の様に流れ落ちていく冷や汗。
「……テメェはこんなとこで何をしてんだ?あぁ”?」
「いや……それは、その……」
コワイって、その顔!!
今まで言われたら言い返すという喧嘩をしてきたあたしだけど、この時ばかりは本気でビビッた。
だって、目の前の煌もコワイけど、その背後にいる大魔王様がそれはもう言葉に言い表せないぐらい恐ろしい顔をしていたから。
ヤバイヤバイヤバイ。
あたし絶対殺されるって!


