「あたし、化粧品見てくるからあっち行くね!」
「分かった。迷子になるなよ」
「なんないし!」
意地悪な貴兄にお得意のあっかんべーをして、目的の場所に向かう。
愛用のファンデーションに色つきリップ。
他に何かあるかな、と周りを見渡せば、入り口近くに基礎化粧品コーナーを発見した。
その近くにはメイク落としもあって、そう言えばそろそろ無くなりそうだったという事を思い出して、その場に歩みを進める。
幾つか手に取って、どちらがいいか選ぶ。
ん~、どうしよう。
本気で悩んでいる時だった。
「テメェ、待てや!!」
耳に入ってきたのは男の怒声とも呼べる声。
……なんだろう?
最近、色んな事に巻き込まれてるせいか、こういう声に敏感になっていて。
商品を手に持ったまま振り返れば、視界に入ったのは数人の男の子達だった。
「えっ!?千暁くん!?」
その後方には、なんと千暁くんの姿もあって。
な、なんで千暁くんが此処にいるの!?
行き交う人の間をスイスイと通り抜けていく男の子達と千暁くん。
あたしに気付かないままドラッグストアの前を通り過ぎていく彼等は、どこからどう見ても普通ではない。
「千暁!捕まえろ!!」
えぇ!?
千暁くんから少し遅れて姿を現したのは見知った顔の男の子達だった。


