あまりの気持ち悪さにこれ以上目を合わせている事が出来なくて、サッと目の前にいる男の人の背中に隠れた。
その時。
「勝負はついている」
聞こえてきたのは抑揚のない低音ボイス。
この声は、多分失礼男の声だ。
「じゃあ、勝ったらあの女くれよ」
「あ゙?」
「は?」
再び出てきた“女”というキーワードに思わず酢頓狂な声を上げてしまったあたし。
って、ちょーっと待って。
今何て言った?あの女くれよって言ったよね?
一体どういう事!?
再び男の人の身体から顔をのぞかせてキモ男を見ると、
「お前、今なんて言った?」
前方から地を這うように低い、重圧感に満ちた声が聞こえてきた。
たった一言。
それなのに、この場の空気が一気に張り詰めたような気がするのは気のせいだろうか。
……この男、只者ではないかも。
「クッ、ククク……」
な、に?
顔を伏せていたキモ男が突然笑い出した。
肩を小刻みに震わせるその様(サマ)は、別に変わった事ではないのになぜか異様に感じる。
「その女をくれって言ってんだよ」
おもむろに顔を上げたキモ男が、小馬鹿にしたような口調でそう言い放つ。
その口調と不気味な笑みに、またもや全身が総毛立った。
口元に浮かべられた不気味な笑みが、キモ男の言葉をより一層引き立たせている。


