────…
「見て見て。あの人達超格好良くない?」
「うんうん超格好良い!あたしはどっちかっていうと可愛い感じの人の方が好きかなー」
あたし達は今、繁華街のど真ん中にいる。
女の人と擦れ違う度向けられる熱い視線と甘い声。
当然だがそれはあたしに向けられている訳では無く、全てこの二人、貴兄と優音に向けられていた。
きっと、並んで歩いているあたしなんか眼中にないのだろう。
……はぁ。
二人と歩くとホント疲れる。
っていうかさ、二人共変装してるのになんでそんなにモテる訳?
それ、変装の意味ある?
キャアキャア騒がれている二人は騒がしいのに慣れているのか、素知らぬ振りで二人仲良く並んで立ち読みしている。
ったく、本来の姿を見せたらどうなる事やら。
今の二人は素の姿ではなく学校仕様の黒髪で。
髪型と色が変わっただけでなんでこうも別人になるのか不思議でたまらない。
まぁ、人の事言えないんだけどね。
二人は普段、大体この姿で過ごしている。
流石に家の中ではやらないけれど、獅鷹に行く時以外は大抵この姿だ。
後々面倒な事にならないように変装しているらしいけど、どうせやるならそのキラキラしたオーラも一緒に消しておいて欲しい。
そのオーラのせいで周囲が無茶苦茶ウルサイんですけど。


