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「もう無理ー。疲れたぁ~」
「……俺も」
あれから東條三兄弟によるマリオカート対戦が始まり、気付けば夜。
お腹が空腹を訴えたところでやっと終戦した。
「貴兄、お腹空いた。ご飯食べに行こーよ」
「だな。腹減ったせいで集中力切れたし」
「貴兄、なに空腹のせいにしてんだよ。貴兄が負けたのは俺が強いからだろ」
「はぁ?優音こそ何言ってんの。あたしの方が強いし!」
「俺だし」
「あたし!」
「俺」
「あたし!」
「なぁ、何食べたい?」
「肉!」
「肉!」
「おぉー。喧嘩してんのに息ピッタリ」
「………」
「………」
まんまと嵌められたあたしと優音。
なんかムカツク。
「じゃあ肉食いに行くか」
ニコニコしながら立ち上がる貴兄に降参の溜め息を吐き出したあたしは、優音の手を引いて立ち上がった。
「貴兄どこ行くの?」
玄関に向かいながら貴兄の背中にそう投げかければ、
「もう予約してある」
肩越しに振り返った貴兄から思わぬ一言が。
「マジか」
「マジか」
流石貴兄。抜かりない。
「貴兄には敵わねぇな」
「……うむ」
ルンルンな貴兄の背中を見たあたし達は敗北を認めざるを得なかった。


