「……ねぇねぇ、そう言えばみんなは?」


後部座席に乗り込んだところで十夜に質問。


だって、運転手さんが壱さんじゃなくてイカつい顔をしたお兄さんだったから。



起きてから誰もリビングに出入りしていないし、どこかへ行ったのだろうか。



車に乗らなきゃ気付かないなんてあたしって相当馬鹿かも。



「見回りだ」


「見回り?」



って、どこへ?


そう聞きたかったけど、それ以上聞くなとでも言うように黙り込んでしまった十夜に何も言えず、仕方ないから窓の外へと視線を滑らせた。


っていうか、その見回りとやらには総長である十夜は行かなくていいのだろうか。


そう疑問に思った直後、脳裏に閃いた。



……もしかして、あたしが居るから?


その可能性は大いにある。


多分、寝ているあたしを一人放っていけなかったのだろう。


もしそうだとしたら悪い事をしたかもしれない。



それにしても、本当に見回りなんだろうか。


だって、一階に下りた時誰もいなかったんだよ?


違和感ありまくりなんだけど。



貴兄の倉庫によく出入りしてた頃は少なくともメンバーの半数は倉庫にいた。


それなのに此処の倉庫には誰もいない。


まぁ、そこのチームによるんだろうけど。何だか釈然としないだよなぁ。





この日から二日後、あたしの勘が当たっていた事を知る。



──危機的状況の中で。