「あはっ。背中ね。うん」

「何で言わなかった」

「………」



どうやら笑顔では誤魔化されないらしい。



「……よく分かったね」

「お前、嘘下手だからな。目泳いでる」



うそ!?


まさか目が泳いでいたとは……


ショック!



「……よ、よくぞ見破った!じゃ、おやすみ!」



これ以上誤魔化しようがない。


そう思ったあたしはじゃあ、と右手を上げ、布団を捲って極寒の視線から逃げ出した。



「オイ。隣に居るからゆっくり寝ろ」


そんなあたしの行動に呆れたのか、十夜ははぁ、と溜め息を一つ吐き出した後、部屋から出ていった。




パタン、と扉が閉まる音が聞こえ、布団から顔を出す。



「……あぁー、もう!ホントに寝てやる!!」



少女マンガの様にドキドキと高鳴る心臓を服の上からギュッと押さえて、再び頭の上まで布団を被った。



こんなにドキドキするのはまだ十夜に慣れていないからなんだからね!


うん、絶対にそう。だから、気にしない。気にしないんだから。


そう自分に言い聞かせて、ギュッと強く目を瞑った。