「……なんか、一日目にして凛音ちゃんと彼方の関係性が出来上がった気がするね」
「……確かに。俺、愛想振り撒いてる彼方はよく見るけど、自分からあんなにもくっつきにいってるのは初めて見るかも」
「よっぽど気に入ったんじゃねぇーの?」
「まぁ、あんなにお気楽というか能天気な女はそう居ねぇよな」
「能天気って……。でも、凛音ちゃんみたいな裏表の無い元気な子、俺は好きだよ?」
「……壱、それ本人の前で絶対言うなよ。後々面倒臭ぇから」
「あはははは。リアクション面白いもんね、凛音ちゃん」
後ろでそんな会話が繰り広げられているとは露知らず。
あたしは、一歩前を歩く十夜をマジマジと観察していた。
広い肩幅に長い手足。
艶のある黒髪は綺麗にセットされていて。
目線を落とせば、骨ばった男らしい手がゆらりゆらりと前後に揺れていた。
手フェチのあたしはその手に釘付け。
ちょっとちょっと十夜サン。
性格はちょっと難アリだけど手はかなり良いじゃない。
程良く大きく、長くて綺麗な指。
細くもなく太くもなく、節が少しごつくて手の甲の筋が何ともセクシーだ。
うん。貴兄と良い勝負だよ。
ちょっと今度触らせて貰おう。
そんな変態じみた事を考えていたのがいけなかったのか。
「ぅわっ!!」
階段を数段下りた所で思いっきり足を踏み外してしまった。
「凛音ちゃん!」
「凛音!」
「っ馬鹿が……!」


