「よ、よーし、自己紹介しようか!」
「そ、そうだな。俺、宮原 陽!」
「うん、知ってる」
「………」
「………」
「り~の~」
「……ごめん」
しくじった。
思いっきり外した。
折角陽が場の雰囲気を盛り上げようとしてくれたのに真っ二つにぶった切ってしまったよ。
ごめんよ、陽。
「そ、そうだよね。陽は知ってるよね。じゃあ俺から自己紹介しようかな」
苦笑いしながらそう切り出してくれたのは壱さん。
「……お願いします」
あたしが馬鹿なせいで壱さんにも気を使わせてしまった。
本当に申し訳ない。
「俺は松下 壱(マツシタ イチ)、本当は去年卒業なんだけどね、事情があって留年したんだ。今は高三だよ」
壱さんはそう言うと、「よろしくね」と右手を差し出してくれた。
あたしは直ぐ様その手を握り締め、「こちらこそよろしくお願い致します」と言って深々と頭を下げる。
心の中で『壱さんと手繋げた。ラッキー』と思っていたのは勿論内緒。
「じゃあ次は俺なー」
声を弾ませながら右手を軽く上げたのはフェロモン男。
相変わらず軽い。
下手に突っつくと面倒臭そうだから、取り敢えず大人しく聞いておく事にした。
壱さんの手を惜しみながら離し、向かいのソファーに座っているフェロモン男に向き直る。
「俺は大野 彼方(オオノ カナタ)。高三。薄々気付いてるだろうけど俺だけ学校違うんだよね」
「へー」
「反応薄っ」
興味無さげに返事したをあたしを見て、ガクンとコントみたいにズッコけるフェロモン男。
「陽、笑ったら駄目だよ」
「だって面白ぇんだもん」
温度差の激しいあたし達を見て陽と壱さんが肩を震わせて笑っている。


