「凛音ちゃん、落ち着いて。ね?アレは放っておいていいから」
「オイ、アレって何だよ」
爆笑男を指差しながら、極上の笑みを浮かべて首を傾げる壱さん。
「壱さんがそう言うなら……」
そんな壱さんにポッと頬を赤らめて、素直にコクンと頷く。
「テメェも乗っかってんじゃねぇよ!」
「壱さん、自己紹介しましょ~」
「そうだね、自己紹介しよっかー」
「オイ、無視すんな!」
ギャーギャー煩い爆笑男を無視して笑い合うあたしと壱さん。
そんなあたし達にギャーギャーと文句を言う爆笑男。
それを苦笑しながら見守っている陽とフェロモン男という、何とも異様な光景が室内に広がっていた。
その異様な空気を真っ二つに遮断したのは──
「するんならさっさとしろよ」
一人蚊帳の外になっていた失礼男の煩わしげな声。
その存在すら忘れていたあたし達は思わず「あ」と声を上げ、同時に顔を見合わせた。
そろりと失礼男の方へ振り向くと、
「機嫌悪っ!」
その言葉通り、失礼男はこれ以上ないほど不機嫌だった。
「………」
「………」
右手に持つ煙草も変わらない。
口から吐き出される紫煙も変わらない。
ついでに体勢も変わらない。
変わったのはその不機嫌丸出しの表情で。
眉間に寄せられた一本の縦皺がこれでもかという程不機嫌さを表していた。
その表情から察するに、多分失礼男はあたし達の会話を聞いて苛ついたのだろう。
まあ、あたしでもさっきの会話を聞いていたら苛ついてただろうけど。


