先生と一緒にやって来た男が先生をスルーして此方へ走ってくるのが見え、不審に思った。


中田はその男にあたしを車へ乗せるように指示している。


それを見てある説が脳裏を過った。



まさか、まさか……!



「アンタ、もしかしてワザと……!?」


「……フッ。ご名答。センコーを呼ばせたのはこの俺だよ。目的はお前を連れ去る事だった。アイツ等とやり合う気は始めっから無かったんだよ」


「……っ」



そんな……。


まさかそこまで考えていたなんて。



いや、そんな事どうでもいい。


それよりもこの状況をどうするかだ。


このままだと本当に連れて行かれてしまう。


それだけは絶対に嫌だ。


爆笑男達はキモ男側の人間に足止めを食らっているからどうにも出来ない。



それなら──



「あたしを甘く見んじゃないわよ!!」



──あたしがやるしかないじゃない。




「クッ……!」



引っ張られている手を思いっきり手前に引き、力が緩んだ所で前倒れになった中田の懐へ右膝を入れる。




『凛音、喧嘩すんじゃねぇぞ』



貴兄、ごめん。


喧嘩禁止令出てたけど、自分の身を守る為には力が必要なの。



「テ、メェ……」



「中田、アンタの元へは行かない。諦めて?」



自分の身は自分で守る。