氷狼ーこんな世界でもきっとー

ファンタジー

詞稀/著
氷狼ーこんな世界でもきっとー
作品番号
1178339
最終更新
2015/10/25
総文字数
10,033
ページ数
8ページ
ステータス
完結
PV数
264
いいね数
0
序章-昔の夢-

「う・・・うぇぇ・・・」
暗い、暗い洞窟の奥深く一匹の少年の鳴き声が聞こえる。
頬から流れる雫は氷となって地面に散らばり、いつしか土に溶けていく。
体は恐怖でふるえ、うまく言葉をはっせない。
「父・・・さん・・・母・・・さん・・・み・・んな・・・・」
声に出した言葉は誰にも届かない。少年が一人だと言うことを
自覚させているように洞窟がそれを跳ね返す。
「誰・・・か・・・みん・・・な・・・・を・・た、助・・・けて」
外では人間と僕ら氷狼一族が闘ってる。何とか森を焼き払うのは
防いだけど、結界の中に入ってきた人間たちは・・・・いや化け物たちは
氷狼一族より一枚上だった。一番強い父さんでさえ苦戦してるんだ。
死んじゃうの?死ぬの?コロサレル?
「いやだ・・・そんなのイヤだ!!」
その言葉が合図のように少年の体を冷たい氷が優しく包んだ。
次の瞬間、氷から出てきたのは少年ではなく、狼だった。
そのまま勢いよく駆け出し、外のにおいを頼りに走っていった。
数分後目の前に僅かな光が見えてきた。「出口だ!」喜ぶ少年に
待っていたのは-絶望-。血まみれの両親。血まみれの男。
その廻りでは・・・・狼の死体を食らう人間たち。余りの衝撃的な光景に
狼は変幻が解けて少年の姿へと戻った。
「う、うあああああああああああ!」
「ギャハハハハハハハハハハハハ!」
外には少年の雄叫びと、男の笑い声が響いた。
「××××××××」
次の言葉を最後に少年は意識を失った。
-君が最後の希望-

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