「恵都ちゃん、ちょっといい?」
山吹に呼ばれ、恵都は声の元へと急いだ。
山吹の私室の襖は開け放たれ、外出の用意をしている。
すでに袴を履いていて、あとは弓籠手や脛当てをするだけだ。
「千鬼の代わりにどうしても出かけなきゃいけなくなっちゃって。悪いんだけど、ひとりで留守番お願いできる?」
「屋敷から出なきゃ大丈夫なんでしょう?絶対に出ないから安心して」
恵都はてきぱきと山吹の外出の用意を手伝った。
何度も手伝っているから、籠手などをつけるのももう慣れた作業だ。
「すぐに戻るから。ただでさえ不安なのに、本当にごめんね」
山吹は眉尻を下げる。
恵都は「山吹さんのせいじゃないでしょ」と言いながら、しっかりと弓籠手の紐を結ぶ。
「そりゃあ不安だし心配だけど、でも無事に帰ってきてくれるって信じてるから」
笑顔を向けると、山吹はもう一度ごめんねと謝った。
