天翔ける君




山吹はきっと分かってくれる。

そう信じて、恵都は山吹を真っ直ぐに見つめた。
山吹もそれに応えるように見つめ返してくれる。

「私ね、結婚したい方の好きって気持ちが分からない。まだそういう気持ちは知らないの。――だから、返事はもうちょっと待ってくれる?」

真摯な眼差しを向けてくる恵都に、山吹は思わず噴き出した。

「えぇ?なんで笑うの?」

恵都はわけが分からず、情けない声で山吹に問う。

「だって、恵都ちゃんすっごい深刻な顔してるからさ。てっきりふられると思うじゃん」

顔が真っ赤になるまで笑って、山吹は目尻に滲んだ涙を拭う。

――そんなに笑うことないのに。
一大決心をした恵都としては傷つくような、でもほっとしたような複雑な気持ちだ。

「オレ最初から長期戦覚悟だし。恵都ちゃんに好きになってもらえるように頑張るから。――だから、オレのこと、男として見てね」

ぽんぽんと頭を撫でる山吹に、

「山吹さんこそ子ども扱いしないでよね」

と、軽く睨んでみせた。