千鬼だってさっきまで分からなかったくせに、とむくれて、恵都は饅頭を頬張った。
「努力して理解することではない」
ぽんぽんと頭を撫でられて、恵都はさらに不機嫌になった。
なんだか子供扱いされている。
今に始まったことではないが、千鬼が妙に嬉しそうなのが腹が立つ。
自分だけ理解してしまって、そもそも相談していた恵都は分からないままなのに、だ。
上機嫌なまま自室に引っ込んだ千鬼に内心愚痴を言いながら、恵都は三つめの饅頭に手をつけた。
結局、どれだけ悩み考えようと、好きという感情は分からない。
しかしこれが今の自分なのだと思うと、恵都はしっくりときた。
分からないものは分からない。
知らないのだから仕方ない。
考えを放棄したのとは違う。
恵都なりに思い悩んだ末の結論だった。
無理に背伸びして悩んで、千鬼や山吹に心配をかけるのはよくない。
それだったら、いっそのこと――。
