天翔ける君




――なにか変なこと言ったかな。

漫画やドラマの受け売りだが、見当違いではないと思う。
くさい言葉ではあるけれど、恵都もそういうものだと考えている。

「分かったような気がする」

ふと口元を緩めて、千鬼は恵都の頭を撫でた。

「え、なになに?どういうこと?」

慌てて問いかける恵都に、千鬼は微笑みかける。

その艶っぽい笑みは恵都をふわふわとした気持ちにさせる。
脳の芯がとろけるような、不思議な感覚だ。

「悩んでも仕方のないことだ。オレにも分かったのだから、きっと恵都にも分かる時がくる」

ますます理解できず、恵都は焦った。

「好きってどういうのか分かったの?千鬼だけずるいよ!」

「急いてどうにかなるものではない」

千鬼は嬉しそうに笑っているだけで、恵都の文句を取り合おうとしない。