――時代劇みたい。
恵都はわくわくして、きょろきょろと辺りを見回す。
なによりも驚いたのは、町人たちが恵都たちに気付くと道を開けることだった。
――いや、千鬼を見て道を開けるのだ。
山吹はすれ違う妖たちと挨拶を交わしあい、親しげにしている。
隣を歩く千鬼は相変わらずの無表情だ。
しかし、恵都には千鬼の周りの空気がピリピリと張りつめているように思えた。
隣から離れるなと言われていなければ、さりげなく離れて歩いたかもしれない。
それくらい屋敷にいる時とは雰囲気が違う。
「恵都ちゃん、こっちこっち」
山吹が楽しそうな声をあげ、恵都を誘導する。
「こっちの店の方が若い女の子に人気の柄が置いてあるんだって」
あの子が教えてくれた、と振り返る山吹に女の妖が嬉しそうに手を振った。
どうやら山吹は異性に人気があるらしい。
声をかけてくるのは女が多く、みんな意味深に山吹の袖を引いた。
山吹はかっこいいし爽やかだし、背は千鬼よりも高い。
恵都は納得した。
