馬乗り袴に脚絆をしてその上から脛当てをし、左右の腕には籠手を付けている。
腰には枕元に置いてあった刀を差し、あとは胴や兜を付ければそのまま出陣できそうだ。
大仰な格好に恵都が驚いていると、千鬼が首を傾げた。
「なんだ、買い物に行くんだろう?」
――あれだけ反対していたのに?
恵都は喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。
嬉しかった。
実は妖の町に興味があったし、本当は替えの服だってほしい。
それに、屋敷にこもってばかりも退屈だ。
「……いいの?」
恵都がおずおずと確認すると、千鬼は軽く頷いた。
そして籠手のはまった手を恵都の頭にのせる。
「お前は――恵都は家のことをよくやってくれている。オレが食うまで、恵都をうちの一員として扱う」
「千鬼さん、ありがとう」
恵都はどうしようもなく嬉しくなった。
実の父にすらかけてもらえない優しい言葉だったから。
