天翔ける君




新しい自宅は、母と暮らした東京と何もかもが違った。

家の近くには畑と田んぼ以外なにもないし、一番近いコンビニすら自転車で行くのも面倒になるくらい距離がある。
しかも24時間営業ではない。


しかし、新しく通うことになった高校に片道2時間かかるのは嬉しいことだった。

家にいるのが苦しかった。
恵都に対する継母と異母妹の扱いはどんどん酷くなる。
けれど父は初日から一貫して無関心を決め込んでいた。

恵都はどうすればいいのか見当もつかなかった。
仕方のないことだと諦めてもいた。


学校は楽しかった。
クラスメイトは気さくだったし、恵都は友達のできやすい性格だった。
新しくできた友達に囲まれて、学校にいる間だけ恵都は笑顔になれた。


それが一変したのは、転校してきてから一月ほどたってからだった。