天翔ける君



父は母と離婚したのち、実家の農業を継ぎ、何年かして再婚したらしい。

小学3年生の娘がいるという話を聞いて、どう考えてもうまくいく気がしなかった。
それでも恵都は大人しく引き取られた。

もしかしたら、温かく受け入れてくれるかもしれない。

母方の親戚の家で肩身の狭い思いをするのは目に見えていた。
施設というのも恵都にはよく分からない。

だから、小さな希望にかけた。


「いつまで私たちのおうちにいるの?」

異母妹は恵都の挨拶を遮ってそう言った。
父の再婚相手はそれを諌めることもなく、嫌な笑みを浮かべていた。

父もなにも言わなかった。

どうして恵都を引き取ろうとしたのか分からなかった。
一つだけ心当たりがあったけれど、それだけは考えたくなかった。

母が恋しくて泣いた。
もうどうやっても母との暮らしに戻れないことが辛くて泣いた。